ポーランド市場調査、ポーランド進出コンサルティング、展示会への出展・視察。ポーランドとの貿易・投資のパートナー

» Part I: 基本編(2014年9月16日)
» Part II: 応用編(2014年9月20日)
» Part III: 番外編(2014年9月23日)

ポーランドの最新ビジネス環境 Part I: 基本編(2014年9月16日)

この9月前半にワルシャワとクラクフを中心に複数の企業訪問と今のポーランドを視察して回った。この章ではポーランド基本編として、ポーランドの概要と基本ビジネス環境について報告する。

ポーランドはHeart of Europeと呼ばれ、文字通りヨーロッパの中央に位置し、ポーランドを基点に周辺国への市場参入を計画する企業の投資先としても注目を集めている。日系企業の進出動向としては、新規の進出企業数自体は減少しているが、M&Aが増加している。2014年6月時点の進出企業数は291社、このうち製造業は3割弱の80社を数える。在留邦人は外務省発表によると2012年10月1日現在で1188名。ちなみに、日本食ブームでワルシャワには約300を数える日本食レストランが点在する。日本人オーナーは僅か2店舗のみらしい。

Polandの語源は「平原」、文字通りの限りない大平原が広がっている。移動は鉄道では遅れることが多く、多少の距離であれば車が一番確かで時間が読める。ワルシャワからクラクフは約300キロ、特急列車に乗れば2時間半だが、今回も車で片道4時間かけて移動した。観光でなく行く先行く先にアポイントがある場合は車での移動を薦める。ポーランドはどこを走っていても道路や建物の建設・工事・整備中で、インフラ整備はポーランドのいわば真骨頂。政府も「Poland Under Construction」と自らをそう呼んでいる。

筆者はこれまで何人かの日本人に、「ポーランドと聞いて何をイメージしますか?」と問うと、負の遺産であるアウシュビッツ、そして、少し間があってショパン!との回答が多い。次にワレサ元大統領、ヨハネ・パウロ2世、アンジェイ・ワイダ監督が3人から5人に一人知っているか知らないかの割合で、キュリー夫人やコペルニクスがポーランド出身者であることを知る人は先ずいない。一般の人たちのポーランドへのイメージは大体がそんな感じで、年間の日本からのポーランド訪問者数が5万人に満たないのが現状。直行便がないことが訪問客増に弾みがつきづらい。ポーランド人の合い言葉は「神・名誉・祖国」で、自国の独立だけでなく、盟友国の独立をも求めて戦ってきた気高く心熱き民族の血が流れている。

ポーランド   ポーランド
ワルシャワ市内

ポーランド  ポーランド
ワルシャワ旧市街

ここで簡単にポーランドの基本事項について触れておこう。

<基本データ>
人口は約4000万人、国土面積は31万平方キロと日本の約85%。言語はポーランド語(西スラブ語派に分類)で、主要なホテルやレストランなどは大体英語でも通じるが、タクシーの運転手や街中のお店では英語が通じないことが多い。日本人が英語を話さないのと同じぐらいではないかと思われる。宗教はローマカトリック90%、東方正教、プロテスタントなど。1995年以降、WTO、OECD、NATOに加盟、EUには2004年5月に加盟している。共和制で議会は上院・下院の二院制。

この中で、特筆すべきは、ポーランドは欧州の中で最も出生率が低い国の一つ。2002年から2006年の5年間の出生率は1.2台となり、2006年までは生まれてくる子どもの数より、死亡者の数が上回ったと聞く。出生率の低さの要因は、女性が仕事と家庭の両立に不安を抱えていることや若い母親に対する差別的待遇が深刻な問題となっているらしい。つまり、ポーランドは「人口増のマーケットではない」という事実認識が大事となる。

<経済動向>
中央統計局(GUS)は、2014年第2四半期の実質GDP成長率(季節調整済み)が前年同期比で3.3%、前期比では0.6%と発表した。投資等の内需は堅調に伸びており、2014年の経済見通しは明るい。今後はウクライナ情勢、ロシアの制裁の影響、トゥスク首相が欧州理事会常任議長の就任に伴う首相職の辞任*による国内政治の不安定化の可能性がリスク要因になるものと見られる。(*リスボン条約の規定により、欧州理事会議長は国内での役職と兼任することが禁止されている)。2013年の一人当たりのGDPは13,394ドル。なお、欧州委員会の春季経済予測(2014年5 月)によると2014年3.2%、2015年3.4%と共に3%超えを見込んでいる。

ポーランド 
ドナルド・トゥスク 1957年生まれ  

ポーランド経済は外需と内需の両輪が支える構造となっている。ズロチ安により外需が下支え、個人消費が経済を下支えという構図である。また、為替レートの推移を鑑みて、ズロチ安が危機下の輸出増に繋がったとの認識である。ユーロ導入の効果への懐疑やユーロ導入に憲法改正が伴うこと、そしてEU内での周縁化の危機感があることで、ユーロ導入は当面は困難と見られている。

<人口分布>
人口の集中地域はワルシャワ周辺、南部シロンスク地方。次に、クラクフ、ポズナン、ヴロツワフ、グダンスクなどの大都市周辺。人口50万人以上の都市は5都市である。ワルシャワ、クラクフ、ウッジ、ブロツワフ、ポズナン。

ポーランド 
Sources: Prepared by JETRO

<ワルシャワの所得水準>
ワルシャワで食事や買い物をして「高いな」と感じることはあっても割安感は余りない。住民一人当たりのGDP(購買力平価基準)は16県中15県がEU平均の75%に達していない(2010年GDPベース)。ただし、ワルシャワのあるマゾヴィエツキ県はEU平均を超え、ワルシャワに限ればEU平均の2倍近くの水準となっている(188)。都市部とそれ以外の格差は大きい。ウッジ77、ポズナン122、シュチェチン77、ヴロツワフ95である。

ポーランド 
Sources: Prepared by JETRO

今回のポーランド訪問の際、羽田からロンドン経由でワルシャワに入った。Lost Luggageが発生し、ワルシャワに着くや下着やシャツ等を買い求めるハメとなった。これは「参考にならない参考」かもしれないが、ことのついでにちょっとしたリサーチも兼ね、下着の値段を比較調査してみた。以下に紹介しておこう。

ポーランド  ポーランド
カルバンクライン3枚パックで179.95ズロチ(1枚2100円)

ポーランド  ポーランド
HUGO BOSS3枚パック199.95ズロチ(1枚2330円)     TOMMY HILFIGER 3枚パック159.95ズロチ(1枚1860円)

ポーランド  ポーランド
DIESELは115.95ズロチ(1枚3820円)

ポーランド  ポーランド
ワルシャワ市内のショッピングセンター内の店舗

<ポーランドの貿易構造(品目別)>
輸入総額(2012): 6481億2760万ズロチ(約1540ユーロ)
輸出総額(2012):6034億1860ズロチ(約1435ユーロ)
日本向け輸出は豚肉が最大の輸出品目だが、ポーランドでのアフリカ豚コレラの発生により、2014年2月に輸入禁止措置がとられた。

 【輸入の内訳】
  機械類・輸送用機器類:32.1%
  原料別製品:17.3%
  化学工業品:13.9%
  鉱物性燃料、潤滑油その他:13.2%
  雑製品:9.1%
  食料品・動物:7.0%
  食用に適しない原材料(鉱物性燃料を除く):3.5%
  特殊取扱品:2.9%
  飲料・たばこ:0.6%
  動物性・植物性の加工油脂・ろう:0.4%
【輸出の内訳】
 機械類・輸送用機器類:37.4%
 原料別製品:21.1%
 雑製品:12.7%
 食料品・動物:10.5%
 化学工業品:9.1%
 鉱物性燃料、潤滑油その他:4.9%
 特殊取扱品:2.9%
 食用に適しない原材料(鉱物性燃料を除く):2.4%
 飲料・たばこ:0.4%
 動物性・植物性の加工油脂・ろう:0.2%

出所:Yearbook of Foreign Trade Statistics of Poland 2013)

<ポーランドの貿易構造(国別)>
輸入総額(2012): 6481億2760万ズロチ(約1540ユーロ)
輸出総額(2012):6034億1860ズロチ(約1435ユーロ)

 【輸入相手国の内訳】
  ドイツ:21.3%
  ロシア:14.0%
  中国:8.9%
  イタリア:5.2%
  フランス:3.9%
  オランダ:3.9%
  チェコ:3.7%
  米国:2.6%
  韓国:2.3%
  日本:1.4%
  その他:32.8%
【輸出相手国の内訳】
 ドイツ:25.1%
 英国:6.8%
 チェコ:6.3%
 フランス:5.9%
 ロシア:5.3%
 イタリア:4.9%
 オランダ:4.5%
 ウクライナ:2.8%
  米国:1.9%
 中国:0.9%
 日本:0.3%
 韓国:0.3%
 その他:34.9%
(以上)
ポーランドの最新ビジネス環境 Part II: 応用編(2014年9月20日)

ここでは日系企業によるポーランドのビジネス環境の評価と日系企業によるM&A事例を中心に触れたい。

<日系企業によるポーランドのビジネス環境評価>
この前の基礎編に加えるべきであったが、ポーランドのコスト競争力となる月額賃金等についてお伝えする。

ポーランド

ポーランド人の個人所得も下記表が示す通り順調に伸びている。ポーランドは2007年12月にシェンゲンに加入。シェンゲン圏内の国境においては、旅券審査が行われることなく、人の自由移動が保障されている。人の自由移動は協定加盟国の国民だけでなく、他の全ての国の国民・国籍所持者に対しても保障されており、シェンゲン圏内の国境は誰でも自由に往来できる。

ポーランド 

順調な個人所得の伸びは、ここ最近の海外からの消費市場への参入企業の増大と相俟ってポーランド人の購買意欲を一層駆り立てている。以下、ここ最近の外資のポーランド市場参入の例である。ワルシャワやウッジ、クラクフなどの街を歩いていると、特に中心地にはファッション分野のH&M, ZARA, GAPなどなど、さらにショッピングモールに入ると米系ファーストフードがところ狭しと軒を並べる。

余談だが、先日、毎年3月にアナハイム(米国)で開催されているNatural Products Expo Westの担当者と意見交換をもつ機会があった。アメリカではアレルギー患者が増大の途にあり、例えばgluten-freeの商材が今や当たり前となっている。このアレルギー体質の人たちが増えているのはアメリカのみならず同じく同展示会が開催されている香港でも同じ傾向が見え始めているとの話しであった。その人の健康は、本来、You are what you eat.に由来するもので、口に運ぶものがその原因となる場合が多い。日本でもありとあらゆるアレルギーに悩む人たちが増えている。アメリカに代表される食パターン・食スタイルの影響を色濃く受けている日本でも以前から同様の現象が起きているが、それが他の国や地域にも「招かざる影響」を及ぼし始めている。ファーストフードに傾斜する食生活には要注意であるが、この流れはどうしようもなく塞き止めることは難しい。ポーランドも本来の豊かな食文化を残しつつも、一方ではもはや例外国ではないようだ。

- GAP(米) アパレル 2011年10月進出
- HEBE(ポルトガル) ドラッグストア 2011年5月進出。21都市25店舗に展開
- ビエドロンカ(ポルトガル) スーパーマーケット 2013年に268店舗出店
- IKEA(スウェーデン) 家具・インテリア 2011年11月店舗拡張。ロシア、中国に次ぐ売上高伸び率を記録(2011年)
- H&M (103店舗、2012年) ロシアを含む中・東欧市場でポーランドが最大の売上。2011年11月進出。
- トイザらス(米) 玩具 2011年11月進出
- ヴィクトリア・シークレット(米) 香水、美容用品.2012年7月進出。
- アメリカン・イーグル(米) アパレル 2012年8月進出
- ルイ・ヴイトン(仏) ファッション。 2012年8月現地法人設立。
- マセラティ(伊) 高級車 2013年ショールーム設立

ポーランド

次に、在ポーランド日系企業がポーランド市場をどうみているか?についてだが、大きくは「消費市場としてのポーランド」と「生産拠点としてのポーランド」の二つに分けられる。前者は人口4000万人を擁する市場規模と潜在性である。後者は西欧市場への近接性、労働コスト、政治・経済の安定性である。在ポーランド日系企業で非製造業の約半数は「ポーランドが中・東欧市場の統括拠点」との認識で、特別経済区(SEZ)進出企業の75%は投資優遇措置が受けられることを進出理由に挙げている。

日系企業のポーランドのビジネス環境に対する評価は、大多数(94%)が「満足」、「やや満足」、「普通」で、「不満」「やや不満」との回答は僅かである。

<満足な点>
- 人材
- 政治・経済の安定性
- EU加盟に伴う経済発展
- 特別経済区の投資優遇措置
- 治安の良さ
- 親日的

<不満な点>
- インフラ(特に道路インフラ)
- 行政手続き(煩雑、ルールが不明確)
- 税制(複雑、当局の見解に整合性がない)
- 硬直的な雇用制度
- 医療サービス
- 外国人向け教育機関

不満な点の中では、輸送インフラの改善が大きな課題である。高速道路の延伸は一定の評価はあるものの、もっと「より早い」ペースでの整備を求める企業の声が大きい。都心で事業を行う非製造業の不満度が特に高い。ワルシャワや大都市では朝の通勤時と終業時の交通渋滞がかなり深刻である。鉄道インフラの改善も必要だ。製造業の企業に関して言えば、工場に通勤するスタッフ用の通勤バスを企業が手配しなくてはならないなど、コスト増の要因にもなっている。また、工場から離れた地域の人材や通勤手段を持たない若年層の雇用が困難と指摘する企業も多い。

インフラ整備が進むポーランドの高速道路網を示す。

ポーランド 
(Sources: File: NowaMapaStan.svg)    

<日系企業のM&A事例>
ポーランドにおける日系企業の進出は1995年頃から増えはじめた。日系企業進出の変遷にはあるトレンドがあるようで、1999年から2004年にかけては自動車関連企業の進出がブームとなった。2005年から2007年は薄型TV関連企業が多く進出した。そして、ここ近年はM&Aが増えている。

◇ ロッテホールディングスによるチョコレート会社Wedel社買収事例
日本でおなじみ「お口の恋人」ロッテが2010年6月29日に英キャドバリー傘下でポーランドチョコレートメーカー最大手Wedelの買収を発表した。買収は欧州連合(EU)規制当局の承認を得てなされた。9月には前株式を取得し100%子会社化している。同年2月にキャドバリーを買収した米食品大手クラフトフーズと全株式取得で合意したものである。Wedelのチョコレートはポーランド人にとっては小さいときから食べなれたブランドで、160年の歴史がある。買収額は非公表。Wedelの売上(2009年)は141億円、営業利益は20億円。買収方法は相対による株式買収。

Wedelの販路はポーランド国内に留まっているが、今後の成長が見込めるロシアや東欧地域の足がかりにしたい考えで、「欧州ではロッテグループを拡大するための中核」とし、両社の事業強化を欧州全体で図る方針である。ロッテはWedelの販路を活用して「コアラのマーチ」などロッテブランドの製品の現地販売も視野に入れている。

現在、アカウンティングとマーケティングを専門とする日本からの二人の専任者がワルシャワに詰めている。その一人は「ポーランド人は付加価値の高いものを評価する傾向があり、3800万人の人口が減少傾向にあってもそういった人口層が増えることで逆に一人当たりのマーケットは拡大する」との見方を示している。

ポーランド 
ワルシャワ・ロッテ                         Wedelが誇るチョコレート職人

ポーランド 
すべてチョコレートでつくられている。ロッテ内に展示スペースがあり見学も可能。

◇ キャノンによるベンチャー医療メーカーのOptopol社買収事例
Optopol社は網膜の断層検査を行うOCT(Optical Coherence Tomography)等の眼眼科機器の開発、製造、販売を幅広く展開する企業。2009年12月、キャノンは総合眼科診断機器分野で世界ナンバーワンの実現にむけたパートナーとして、Optopol社をグループに迎え入れた。今回の買収額は248百万ズロチ(約79億円)で買収方法は公開買付(TOB)による株式取得である。

この買収によって、3つの大きな効果が期待される。
(1) OCT分野への参入
(2) 製品面での強力な補完関係
(3) 技術面でのシナジー効果
市場を通じた株式の公開買付けにより、Optopol社の発行済株式総数の90%の取得を図り、総合眼科診断機器で世界ナンバーワンの実現を目指している。

キャノンは10%ほどに留まる眼科診断機器市場の世界シェアの2015年には25%に引き上げる狙いだ。キャノンは2次元で眼底を撮影する眼底カメラや眼圧計などに強い。Optopol社とは製品面で重複がなく、相互補完できる。OCTは近赤外線を使った眼底検査装置で緑内障や加齢性黄斑変性などの網膜疾患の診断で用いる。

◇ 明治安田生命とタランクス社によるポーランド保険会社の共同買収
日本の保険会社としてはポーランドで初の事業展開である。明治安田生命とTalanx AG(独)は、ポーランドの生保第2位のEuropa Group(本社 ポーランド・ヴロツワフ)の共同買収について、オイロパ社の親会社であるGetin Holding S.A.(本社 ポーランド・ワルシャワ)と合意し、ワルシャワ証券取引所における市場公開買付を開始。2010 年11 月に、資本および業務提携からなる戦略的提携契約を締結し、両社によるグローバルな共同保険事業展開の第一弾となった。明治安田生命は今回の共同買収により、日本の保険会社としては初めてポーランドで事業展開を行なうこととなった。

オイロパ社は、生命保険事業および損害保険事業を展開する大手保険グループで、現在、多数の金融機関等と提携し、強固な事業基盤を有している。オイロパ社の親会社であるゲティン社は、傘下に保険会社のほか複数の銀行、証券会社等を保有するポーランド有数の金融グループで、今回の取引完了後も、引き続き傘下の銀行等を経由してオイロパ社の保険商品を販売していく予定。
オイロパ社がワルシャワ証券取引所に上場しているため、明治安田生命とタランクス社は同社のすべての株主を対象に市場公開買付を開始。

ワルタ社(ポーランドの保険会社)の株式取得に関して
その後、明治安田生命は、Talanx AGの子会社であるTalanx International AGから、2012年7月、ポーランドの大手保険グループWarta Group(本社 ポーランド・ワルシャワ)の株式を30%取得。このワルタ社株式の取得は、ポーランドのEuropa Groupの共同買収に続き両社がめざすグローバルな共同保険事業展開の第二弾となった。

ワルタ社は1920年に設立され、ポーランドにおいて生命保険および損害保険の両事業を展開している大手保険グループ(生保3位・損保3位・合計2位)で、ポーランド全土にわたる代理店網など幅広い販売チャネルをもつとともに、高いブランド力と強固な事業基盤を有している。
明治安田生命は、ワルタ社および金融機関窓口販売を強みとしているオイロパ社のそれぞれの特色を活かした経営をタランクス社、ティント社とともに推進し、ポーランドで全体としては第2位となる保険グループの発展を目指す。

ポーランドの最新ビジネス環境 Part III: 番外編(2014年9月23日)

Bird’s eye viewという言葉がある。「鳥瞰図」である。上から全体を俯瞰する。一方、だれがつけたか「虫瞰図」がある。文字通り、虫の目のように地べたを這いその臭いを嗅ぎ手で触れ間近に観察する。最近では、「魚瞰図」まである。確かに、鳥の目、虫の目、魚の目で大局を俯瞰しながら現場を捉え、異なるベクトルから時代の流れを読み取り、事象を分析・検証できればと思う。

筆者などは観察も分析もあったものではなく、見たもの感じたものをそのまま小学生の作文のようにお伝えしたい。ゆえに、今回のポーランド視察の「番外編」となる。

その1: 屋外広告のバカでかさ
ビルを丸ごと利用したバカでかい広告が街を走っていると飛び込んでくる。日本では新商品を宣伝するポスターやバナー程度で、まだビルを丸ごとは見たことがない。ビルを使っているので、目に飛びこんでくるインパクトは大きい。ただ、他の国で見たものに比べ、アイデアとユニークさが足りない印象だ。まだまだ、真面目過ぎるポーランド。今回、皮肉にも、泊まったホテルの窓に広告がかかっていて、高層階にも係わらず外の景色がよく見えず台無しであった。

ポーランド ポーランド

アメリカのセンスあるユニークなビル丸ごと広告を以下に紹介しておく。

     ポーランド     ポーランド
左写真はスポーツジム、右写真はペンキの広告。大仕掛けである。

その2: 歴史ある街に落書きが
ワルシャワの街でもそうであったが、他の町を訪ねたときも、残念なことに落書きの多さにビックリした。奇麗な街ゆえに、余計に目立つのかもしれない。そこに住むポーランド人も落書きに対して強い憤りを表明していた。最近はかなりアートっぽい落書きも多いと聞かされるがなんの慰めにも・・。

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その3: なぜ、そんなに信号の時間が短いの?!
ワルシャワ市内の大きい通りを渡るときなど、信号が渡りきる前に青から赤に変わってしまう。最後はいつも駆け足になる。好奇心の果てに、下の写真にある通りを歩きながら信号の時間を計ってみたら渡りきるまで15秒かかった。信号は12秒ぐらいから黄色に変わりあっという間に赤になってしまう。気になるので、路上に立って信号を渡る人が歩いて青信号の状態で渡りきれるかを調べてみたが、ご覧の通り、左下の信号機は赤になっている。現地で一緒だったポーランド人は確かに歩くのが早い。ポーランドは車が優先なのか、歩行者の歩くスピードが早くその平均歩行スピードに信号の時間が合わせられているのか? 理解に苦しむ。路面電車が走っている大通りでは、その中央分離帯のところで立ち止まるひとも多い。

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その4: 車道→駐車スペース→自転車専用通路→歩道
筆者は海外に行った際、起床後、宿泊先ホテルの周辺を歩き回る性癖がある。1時間+α、大体1万歩程度が目安なので、5-6キロは歩いて見て廻っている計算になる。歩いていて、後ろから急に自転車が駆け抜けて分かったのだが、自転車の専用道路を歩いていた。比較的広い道路では、車道があり、縦列ではなく斜めの駐車スペースがあり、自転車用通路があり、そして、歩道となる。
日本では縦列駐車なので、この横列に近い斜め駐車は新鮮に映った。

ポーランド ポーランド

その5: ATMがこんなところに
日本ではみかけることがないので、話しの種として紹介しておく。ATMがいわば路上の目立つところに置かれている。何年か前、日本で盗んだフォークリフトを使ってATMごと盗み去った事件を思わず思い出し、ポーランドは大丈夫なのかしらと余計なことを考えてしまった。

ポーランド 

その6: 食に関して
ポーランドは早朝から一般のお店でも開店しているところが多い。6時、7時と朝早くから馴染みの店に立ち寄り、朝食用のパンを買い込む人が目立つ。パンの専門店だけでなく、どんなお店にもパンのコーナーがある。そして、ポーランドのパンはうまい。道行く人には屋台でも。屋台のパンも上にゴマが振り掛けてあってトルコのスミットのようだ。食べてみたが、トルコのスミットとは食感が違うようであった。

次に、ケバブのお店が目立つ。特に人気はドネルサンドタイプのケバブで日本でも六本木やアメ横など色んなところで見かける。ドネルケバブと呼ばれる肉の塊を回転させながら焼いて、その肉をナイフで削ぎ切ったものをパンやピタにサラダと一緒に挟んでラップ状にして食べる。観光客や地元の人にも大人気らしく、ハンバーガーと肩を並べるファーストフードとなっている。ケバブはトルコや中東の料理だが、ドイツにトルコ系移民が持ち込んだのがきっかけらしい。今やヨーロッパ各地に広まり、肉料理が大好きなポーランド人には、肉のうま味たっぷりのケバブとの相性は抜群である。
ポーランド ポーランド
ポーランド ポーランド
ケバブ屋                         パン専門店

その7: お酒に関して
ワルシャワからクラクフに車で移動した。高速道路も使って比較的快適な車での移動であったが、日本のようにサービスエリアがあるわけではなく、トイレ休憩はもっぱらガソリンスタンドとなる。ガソリンの値段は日本より高い。問題はむしろガソリンスタンドのショップに入っていくつかビックリするものを発見したことである。

ポーランド ポーランド

先ずもって、アルコール類がタップリと取り揃えてある。ウォッカからビール、ハードリカーまで品揃えがガソリンスタンドの売店とは思えない充実した内容。 そして、ビックリアイテムがALCOHOL ANALYZER、つまり飲酒量の測定器が店内に設置してあり、5ズロチで数値を計測できる。ただただ、ビックリ。その意図がわかりかね、お互い顔を見合わせ、首をひねるのみ。ポーランドの奥深さとも言える。

ポーランド ポーランド
     ポーランド      ポーランド

最後に番外編に相応しいアイテムを紹介しておく。以下の写真をとくとご覧いただきたい。レジの横にある棚でだれもが手を伸ばして買いたくなるチョコレートやキャンディなどがギッシリと並んでいる。その中に泰然として置かれているアイテムがある。パッケージには「PLEASURE MAX」と記されている。コンドームである。これまた、先ほどのALCOHOL ANALYZER同様、ただただ、お互い顔を見合わせポーランドのおおらかさと奥深さを感じながら笑う他なかった。われわれのポーランドへの印象もこれでいっきに「マックス」に達した瞬間であった。

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